有限会社イマモト印刷

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そうだ。活版印刷やろう。(1)

2014年2月17日。

はじまりは、これなのだ。

この本をAmazonで購入して、目覚めた「ささやかな夢」。

「そうだ。活版印刷やろう。」

レタープレスのデザイン

私が幼い頃、祖父は「有限会社広島経済社」という会社を作り、「廣島タイムス」という新聞を発行していました。イマモト印刷のルーツです。

新聞記者だった祖父は、出版を生業とすべく、そのために印刷機を購入・・・・そんなスタートでした。

当時の印刷技術は「活版印刷」。そう、活字を一本一本拾い、組み上げ、凸版部分にインキをのせて印刷する、そんな大変な技術でした。

イマモト印刷には、活字を鋳造する「鋳造機」、びっしりを並んだ「活字ケース」、植字台、黒くて大きな印刷機、がありました。

時代は流れ、写真植字(写植)とDTP(デスクトップ・パブリッシング)化がその命脈を途絶えさせました。デジタル製版が可能になり、現在の日本では活版印刷は絶滅。イマモト印刷も必死でデジタル化を推進しました。

活字から、写植機、高級車が買えるほど高額だった組版機、最初に買ったMacは、メモリが1MB1万円もしたんだ・・・と昨日のことのように蘇ります。

父はよく頑張りました。新しもの好きだったから、惜しげも無く「活字」を捨て、その後「写植機」を捨て、「暗室」もつぶし、組版機も捨て、バカ高いMacを買ってくれました。今の私には、とてもそんな度胸がありません。決断もできません。これから印刷業はどうなってゆくのかな、と不安しかありません。

ちょっと長くなってしまいましたが、そんな不安に漠然と苛まれていた頃に、この本を読んで、そうだ「印刷」って本来ワクワク、ドキドキしたはずなんだ、、トキメキを感じました。

筑摩書房の太宰治全集をめくる時のドキドキ。紙の質感。活字の静謐な佇まい。

就職した時に会社から初めてもらった自分の名前が記載された名刺。角が丸くなっていてちょっと小型。嬉しかったな。

私のノスタルジックな気持ちがこみ上げ、溢れ、いつの日か「おばあちゃんになっても活版印刷」が夢となってゆくのでありました。(続く)